2005年11月02日

東南アジアの重要性。

 〈東南アジアは地理的に巨大な人口を擁する中国と同様の人口を擁するインドの間に位置し、今後、この2大人口大国が順調に成長すれば、世界経済のあり様は大きく変わることになる。日本企業はこれまで中国への生産拠点の移動を行ってきたが、今後のこの2大市場を見据えて生産拠点を中国から東南アジアへシフトすべきだろう。すでに、日本には東南アジアでの生産の実績もあるので多少のノウハウの蓄積はあるのである。ただし、問題となるのは、労働力の質であろう。将来を見据えて、東南アジアに教育援助を行うべきだ。
 東南アジアは日本のシーレーンがあり、資源を海外に大きく依存する日本はこのシーレーン防衛が国策であることは言うまでもない。その意味でも、東南アジアは日本にとって非常に重要である。しかし、このシーレーン防衛に大きな脅威が存在する。中国である。〉

 〈現実的といえないかもしれないが敢えて想定すると〉台湾を中国が支配した場合、南シナ海は中国の内海になる。東南アジアへの影響が出る。特に、タイ、ベトナム、カンボジア、ラオス、ブルネイは南シナ海以外に海洋への出口を持たない国である。マレーシアも半ばは南シナ海に面している。航通路を制することはその国の死命を制することだ。中国の南シナ海への影響力拡大に、東南アジア諸国は、対抗か協調かの選択を迫られることになる。中国に対抗する力が無ければ、フィンランダイゼーションの傾向が生じる。〈日本の国連常任理事国入り活動のときの東南アジアの反応にはその端緒を思わす態度があった。〉かつて日本の金城湯池といわれた東南アジアの態度はそんな予感が的中する気がしてくる。
 そして、深刻なのは、華僑の動向である。現在東南アジア華僑は、親中国、親台湾、中立に分かれていて、それぞれの現地政府は、政治的にその分裂を利用しえたが、台湾の併合はその区別がなくなることを意味する。この現象は、中国による完全な台湾の制圧でなくても、その前段階である香港式の1国2制度の段階ですでに生じると考えなければならない。
 中国はいままで、時としては在外華僑に対して強い同情と支持を表明しつつも、これを具体的に支持することから生じる現地政府との関係の逆効果を考えて、極めて慎重に対処してきた。しかし、東南アジア諸国のフィンランダイゼーションが進めば、中国政府の意向に対して、現地政府の抵抗力は弱くなるであろうし、また、現地華僑も強気に出てもよいという状況も生まれよう。
 インドネシア経済はいまも華僑が牛耳っている。華僑が統一し中国の影響力が強まれば、華僑の政治的発言力も、その経済力に見合って次第に大きくなるだろう。
 マレーシアの華僑は従来、政府の現地人優遇策にじっと耐えてきたが、中国の力を背景により強く出てくるかもしれない。
 シンガポールは独特の法治国家と高い生活水準を達成し中国本土とは常に一線を画してきたが、他面、時として親中姿勢を示すこともあった。シンガポールの地政学的条件は,マレー民族の海の中の孤島である。したがって、周辺のマレー族に配慮せざるを得ない状況にあった。しかし、もし、周辺諸国が中国によって、フィンランダイズされてくると、マレー族に対する配慮は必要を減じてくる。もし、シンガポールが同民族ということで中国に靡けば、南シナ海は北の台湾と南のシンガポールの間の中国の海となり、沿岸諸国のフィンランダイゼーションは更に進むことになる。

(上記は『国家戦略からみた靖国問題』岡崎久彦著 PHP新書の一部要約)

〈 〉は私の考え。

〈日本は日米同盟を強化し台湾の独立維持をしなければならない。政府はアジア重視などといっているが米国の影響をアジアに保持させることが日本の国益につながる。日米同盟は日本の国是であると言えるだろう。日本はアングロサクソンと組む以外に現在のような平和と繁栄を享受出来ない。〉

※フィンランダイゼーション:フィンランドのソ連を刺激しない外交。転じて強国に従順な外交姿勢。

追加雑感:中国共産党はいづれ崩壊しない訳にはいかないだろう。国民の目を外に向けるために対日批判などしているが、同じ目的で、台湾への武力行使も無いとはいえない。(ただし、軍事力で日米との差は圧倒的のなので武力制圧は不可能だろう。)中国共産党が崩壊した場合、もしかしたら台湾政府が中国共産党に替わる中国政府の受け皿になることは考えられないだろうか?どちらにしても台湾が中国への脅威を感じている間に日本政府は台湾政府を支持すべきだ。
posted by ウブドちゃん at 02:52| Comment(0) | TrackBack(4) | 時事、思いついたこと。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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